バックロードホーン

バックロードホーンは、スピーカーユニット背面の音をホーン構造で導き、低域の音圧と能率を高める方式です。この方式は、単なる高能率化技術としてではなく、長岡鉄男の音響思想によって再定義されました。長岡は、音の良否を周波数特性や量感ではなく、「音の立ち上がり」や「音離れ」といった時間軸の正確さに求めました。その視点において、低音を前面に主張させるフロントロードやバスレフよりも、背面から回り込み、遅れて空間を満たすバックロードホーンは理にかなった方式でした。低音は旋律を語るものではなく、音楽全体を後方から推進する力であるという認識が、その選択を支えています。1960年代以降、バックロードホーンは主流から外れますが、長岡鉄男はその非合理性を承知のうえで設計と実践を重ね、音楽のエネルギー感を最優先する思想的手段として、この方式を徹底的に追求しました。

バックロードホーンは、スピーカーユニットの背面から放射される音をホーン構造によって導き、低域の音圧を効率的に高める方式です。その起源は20世紀初頭、電気増幅技術が未発達であった時代の音響技術に遡ります。1920〜30年代には、劇場や放送用途において小さな入力で大音量を得る必要があり、フルレンジユニットとホーンを組み合わせた方式が実用化されました。

PAGE TOP